ネット・キャリア相談所

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問題あり!?、‘24年問題に揺れる陸運業について色々調べてみました(汗)

さて、立場柄 労働関係のニュースは特に気にするようにしておりますが、最近よく目にするのが“物流・運送業界の「2024年問題」”です。
また、この問題以前にも、労働者不足や長時間労働、過労死等の問題が噂(!?)されているのが、この業界だったりします(汗)
今回は、この辺りにメスを入れるつもりで、陸運業について色々調べてみることにします♪

本ブログを運営するネット・キャリア相談所と申します。

進学・就職・転職・採用等をテーマにブログを運営しております。
みなさんとって、当ブログが少しでも有益なものであれば幸いです。

 

【目次】

 

今回のターゲット

陸運業(鉄道業を除く)への就職に興味がある方は、ぜひ一読してほしい内容となります。

 

イントロダクション

当ブログのテーマとして、色々な業界・業種の分析を行ってきました。
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今回は、‘24年問題で注目される陸運業にスポットを当ててみることにします♪

前半は、「陸運業の概要と問題点!?」として勤続年数や給料、‘24年問題の概要、過労死状況などについて触れていきます。

後半は、CSR企業総覧に掲載されている大手陸運業(鉄道業を除く)16社について、新卒採用や離職率の状況について、今まで調べてきた金融業や化学業界と比較していきたいと思います。

なお、データの参照元は、令和3年賃金構造基本統計調査、および大枚はたいて購入したCSR企業総覧(約2万円 ( ゚Д゚))となります。

それでは、本題です。

 

Ⅰ 陸運業の概要と問題点!?

1 年齢、勤続年数労働時間、給料など

まずは、令和3年賃金構造基本統計調査(全145職種)より、“運輸・郵便事務従事者” の諸条件を見ていきましょう♪
まず、平均勤続年数と平均年齢です。

 ・平均勤続年数 14.2年  (降順17位)
 ・平均年齢   44.9歳  (降順37位)

平均勤続年数は145職種中の17位ですから、結構安定して働ける業界と考えていいと思います。
また、平均年齢は44.9歳と やや高めですが、平均勤続年数を合わせて考えれば、「高齢者の中途を大量採用」とかではなさそうなので、意外にも(!?)好印象です。

次に労働時間をみてみましょう。

 ・所定内実労働時間数 163 hr/月  (降順98位)
 ・超過実労働時間数   11 hr/月 (降順61位)

所定内労働時間も、超過労働時間(≒残業時間)も、全145業種中でも少な目といった結果でした。
これは実に意外な結果で、正直しっかり集計出来ているか疑問だったりします!?
まあ、この集計が正しければ“'24年問題”って何なのか!?、って話になりますから(汗)

最後に給料と賞与についでです。

 ・きまって支給する現金給与額 315.3千円 (降順72位)
 ・年間賞与等         752.8千円 (降順70位) 

この調査の全職種数が145職種ですから、月給もボーナスも順位的にはほぼ真ん中となります。
これより、給与については、「高くも、低くもない」って考えて良さそうです。
まあ、このデータがしっかり集計出来ていればの話ですが(汗)
上記労働時間の結果を見るにあたり、この辺りが甚だ心配になってきております…

2 '24年問題とは

ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されること”とのことです。
この結果“一人当たりの走行距離が短くなり、長距離でモノが運べなくなる”、“物流・運送業界の売上減少、トラックドライバーの収入の減少”なども考えられるとのことですが、“?”ってなりませんか?            

上記1の調べでは“超過実労働時間数11 hr/月 (降順61位)”ですから、“時間外労働時間が年間960時間に制限”されても何の問題もないはず、と考えてしまったのは私だけでしょうか!?

色々なデータを知らべていると、こういった矛盾に当たることは多々あるのですが、大概“きな臭い”原因であることが多いですから、色々心配になります(汗)

3 過労死問題

業界別の過労死については以前のブログにまとめてありますので、今回はさらっとまとめておきます。

car-emon.shopまず、厚労省が集計している過労死(正式には“過労死等の労災補償状況”)ですが、

 ・脳・心臓疾患に関する事案(≒過労原因)
 ・精神障害に関する事案(≒ハラスメント原因)

に分けられます。

そして、“道路貨物運送業”ですが、この2分野共に上位ランクインしています(涙)

まず、“脳・心臓疾患に関する事案(≒過労原因)”ですが、2位にほぼタブルスコアのぶっちぎり1位です( ゚Д゚)!
この結果からも、やはり“超過実労働時間数11 hr/月 (降順61位)”は疑わしく感じてしまいます…

また、“精神障害に関する事案(≒ハラスメント原因)”も医療、福祉についで第3位ですから、やはり相当厳しい業界なのでは、と感じずにはおられません(涙)

'24年問題を嘆くのも分からなくはないですが、問題はもっと根本にあると感じざる得ないというのが正直な感想です

 

Ⅱ 陸運業16社を分析、他業界と比較してみました

後半は、CSR企業総覧に掲載されていた大手陸運業(鉄道業を除く)16社について、今まで調べた金融保険業、化学業界と比較していきたいと思います。

1 調査対象数について

まずは、調査対象数ですが、次のとおりとなります。

・金融 保険業      95(社)
 ・うち銀行業           48(社)
 ・うち証券会社等         14(社)
 ・うち保険業           13(社)
 ・うちリース、カード業等     20(社)
・化学業界       132(社)
・陸運業(鉄道業除く)  16(社)

社数としては、証券会社や保険業に近い感じですね。
CSR企業総覧に掲載される企業ですが、基本的には

 ・全上場企業
 ・主要未上場企業

に照会、回答があった企業となりますので、ざっくりいって“国内の超大手企業数”といっていいのではと思います。

また、従業員数ですが陸運業(鉄道業除く)の平均が約4900人、中央値(大きい順に並べたとき真ん中にくる値)が約1000人となっており、掲載企業の中でも企業規模の差は大きいと考えられます。

2 採用人数

2019年の新卒採用人数の平均値を比較します。

・金融 保険業      173(人)
 ・うち銀行業           185(人)
 ・うち証券会社等         135(人)
 ・うち保険業           350(人)
 ・うちリース、カード業等      57(人)
・化学業界         41(人)
・陸運業(鉄道業除く)   126(人)

これまた、証券会社とほぼ同じ人数となりました。

しかし、これも陸運業(鉄道業除く)内で結構な差がつく結果となっています。
上記のとおり平均値は126人なのですが、中央値はなんと29人(!)となり、新人採用は一部の企業のみが積極的に行っていると考えていいと思います。

当相談所では、これが運送業の問題の根本の一つと推測しています。
他業界と比べ、新人の採用・育成が弱かった結果、現在の状況につながったのではないでしょうか!?
また“安価な外国人に頼る!”なんて政府が言い出しそうで怖いですが、そんな事をやってもろくな事にならないと思っているのは私だけでしょうか…

3 新卒3年離職率

さて、当相談所では本丸扱いの3年新卒離職率ですが、その平均は次のとおりとなります。

・金融 保険業      17.1(%)
 ・うち銀行業           17.6(%)
 ・うち証券会社等         29.8(%)
 ・うち保険業           19.1(%)
 ・うちリース、カード業等     19.0(%)
・化学業界        11.1(%)
・陸運業(鉄道業除く)     25.6(%)

これまた、証券会社と近い値で、残念ながら大企業としては結構高めです(涙)
新卒採用自体厳しく、さらに新卒離職率まで高いとなれば、業界が健全に育つはずはありませんよね!?
CSR企業総覧に掲載されるような大手でこれですから、中小企業の新卒離職状況はかなり厳しいのではないでしょうか!?

'24年問題が表面化する前に、この辺りの問題に正面から取り組んでいれば、現状少しは良くなったのではと思ってはしまうところではあります…

また、今回の新卒3年離職率回答状況も合わせて紹介致しす。

・金融 保険業      20.0(%)
 ・うち銀行業           25.0(%)
 ・うち証券会社等          7.1(%)
 ・うち保険業           15.4(%)
 ・うちリース、カード業等     20.0(%)
・化学業界        14.4(%)
・陸運業(鉄道業除く)     25.0(%)

銀行業と並び回答状況は最低です(涙)
未回答の理由は、おそらく

 ・新人を採用していない(採用できなかった!?)
 ・離職率が高く公表したくな

のどちらかではと推定しますが、どちらにしろ問題ありですね(涙)

4 平均勤続年数

最後に平均勤続年数を紹介致します。

・金融 保険業      14.0(年)
 ・うち銀行業           16.0(年)
 ・うち証券会社等         10.5(年)
 ・うち保険業           12.5(年)
 ・うちリース、カード業等     12.3(年)
・化学業界        15.5(年)
・陸運業(鉄道業除く)     13.4(年)

全職種の平均が11.2年ですから、陸運業(鉄道業除く)の13.4年はなかなか優秀です♪
ここまでライバル関係だった(1?)証券会社等より、断然よいです。
新卒離職率は悪かったですが、平均勤続年数から推定するに辺り、入社後ある程度経った後の定着率はそれほど悪くないのではないでしょうか!?
この結果からも、やはり新人の採用&育成に問題を抱えている業界かと推定せざるを得ません(涙)

 

まとめ

Amazon等の普及により、より必要性が高まっている業界ではありますが、色々問題もあると感じてしまいました(涙)

“長く勤めることが出来る就職先を探そう♪”をポリシーとしている当相談所としては、“お勧め!”とは言えない業界ではあります(涙)
もちろん、“この業界で働きたい!”って方に反対するつもりまでは毛頭ないのですが、その際には より沢山の企業を比較し、少しでも条件の良い企業を探すようにした方がいいでしょう。
人材不足が言われている業界ですから、求人は結構あると思いますので(汗)

以上、陸運業(鉄道業を除く)についてでした。

次回は、「陸運業大手で離職率の低かった日本エキスプレスと高かった鴻池運輸の求人・勤務条件を比較してみました」の予定です。
それでは(^^)

(追伸)
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