さて、ここのところは医薬品業界をテーマとしたブログを書いておりました。
今回は医薬品業界シリーズの最終回、勤務条件と関係が高いと言われている「従業員数」に注目、好対照な2社の求人・勤務条件を比較してみようかと思います♪
本ブログを運営するネット・キャリア相談所と申します。
当相談所では「長く勤めることが出来る就職」をポリシーにライフワークバランスを重視したい20~30代の”会社選び”をオンラインにて支援しています。
気になる方は、下記ホームページまでアクセスしてみて下さい♪
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ホームページには、今までおこなった企業チェックのリンクほか、就職・転職に役立ちそうなことを色々まとめてあります。
一見の価値ありですよ(^^)
また、当ブログでは就職・転職に役立ちそうな情報について、週1回を目途に発信しています。
みなさんとって、当ブログが少しでも有益なものであれば幸いです。
【目次】
- 今回のターゲット
- イントロダクション
- 1 企業概要
- 2 採用規模
- 3 採用職種
- 4 給料
- 5 勤務時間
- 6 年間休日数
- 7 平均有給取得日数
- 8 離職情報等
- 9 おまけ(不祥事等)
- まとめ(5段階評価付き)
今回のターゲット
医薬品業に興味がある方にお勧めです。
また、「従業員数」と待遇の関係に興味がある方にもお勧め致します。
イントロダクション
さて、先日医薬品業大手36社に注目、業界全体の動向を調べてみました。
car-emon.shop今回は、その中でも「従業員数」に注目し、アステラス製薬と日本ケミファで求人・勤務条件を比較してみようかと思います。
一般には、従業員数が多いほど諸条件は良いと言われています。
実際、政府の調査(賃金構造基本調査や労働条件総合調査等)を見ても、その事は概ね裏付けられているといっていいでしょう。
では、実際 従業員数に差がある企業で、求人・勤務条件はどの程度差があるのでしょうか?
これを好待遇業界である医薬品業で比較しててみよう、というのが今回の主旨です。
今回、医薬品大手36社の中からサンプリングした企業はアステラス製薬と日本ケミファとなります。
アステラス製薬は従業員約4,000人、日本ケミファは約350人の企業となります。
実は、アステラス製薬より従業員数が多い企業も、今回調べた企業の中にはあったのですが、既に当ブログで取り上げ済だったり、あまり情報を公開していない企業だったり、持株会社で比較が難しかったりがあったため、今回“従業員が多い”方の代表となって頂きました。
一方、日本ケミファも、これ以上に従業員数が少ないがあったのですが、採用実績がなかったり、公開している情報が乏しかったりで、これまた比較対象として相応しくなかったため、今回“従業員数が少ない”方の代表になって貰いました。
逆に言えば、2社ともしっかり採用実績があり情報公開もしている企業と言えるわけです♪
それでは、本題に入りますが、今回のデータの参照元は、マイナビ2025、リクナビ2025、duda、有価証券報告書、業界動向サーチ、バフェット・コード、および大枚はたいて購入したCSR企業総覧(約2万円 ( ゚Д゚))、等となります。
また、回答時期の違いや集計方法の違い(!?)が原因かと思いますが、情報ソース毎で数値が異なるものが何点かありましたが、基本CSR企業総覧の値を掲載しています。
1 企業概要
今回比較する企業の概要となります。
1)アステラス製薬
医薬品国内2位(業界動向サーチ調べ)、東京本社の東証プライム上場企業です。
山之内製薬として1939年に設立、藤沢薬品工業と2005年に合併といった歴史がある企業となります。
・設立 :1939年
・資本金 :103,001(百万円)
・従業員数 :3,943(名)
[‘21年度]
・自己資本率 :62.9 (%)
[‘21年度]
・経常利益 :270,544(百万円)
[‘21年度]
医薬品業らしく、医薬事業単一セグメント事業となりますので、いつもここで紹介させて頂いている事業毎の従業員比の記載は省略させて頂きます。
2)日本ケミファ
東京本社の東証スタンダード上場企業です。
主力はジェネリック薬品で、バッフェコードの調べではジェネリック医薬品売上ランキングの10位にランクインしております。
合わせて、業界動向サーチの調べによる医薬品売上ランキングでも35位にランクインしている企業です。
・設立 :1950年
・資本金 :4,304(百万円)
・従業員数 :347(名)
[‘21年度]
・自己資本率 :31.3 (%)
[‘21年度]
・経常利益 :△2(百万円)
[‘21年度]
経常利益が赤字なのは、気になるところです(涙)
さて、こちらは医薬品事業のほかに“その他”事業として、「安全性試験の受託等、ヘルスケア事業及び不動産賃貸事業」も手掛けておりますので、下記に事業毎の従業員比(連結ベース)を示しておきます。
・医薬品事業 88.1%
・その他 7.7%
・全社(共通) 4.2%
医薬品事業が約9割ですから、ほぼ医薬品事業専業に近いといっていいかもしれません。
さて、この2社の比較をしてみます。
設立については、両社ともかなり歴史ある企業となります。
そして、資本金は約24倍、従業員数は11倍アステラス製薬の方が大きく、企業としての規模がかなり異なることが分かります。
今回はこの2社で、求人・勤務条件がどう異なるかをチェックしていきます♪
2 採用規模
次に、この2社の採用の規模についてまとめます。
1)アステラス製薬
・(新卒)63名(1.6%)[‘21年度]
・(中途)90名(2.3%)[‘21年度]
2)日本ケミファ
・(新卒) 7名(2.0%)[‘21年度]
・(中途)19名(5.5%)[‘21年度]
では、両社の比較をしていきます。
まず、新卒採用についてです。
さて、当相談所では企業を知る上での重要な要素の一つと考えています。
多すぎても(離職率が高い!?)、少なすぎても(採用が失敗している or 人事が活性化していない!?)あまり良くないと考えており、業界・業種で大きく異なるものではありますが、2~10%程度が妥当では と考えております。
そういった意味ではアステラス製薬は少なめ、日本ケミファもギリギリ適当ということになります。
ただ、医薬品業界は他と比べ採用比率が低い(今回調べた36社の平均は2.0%)ことを考慮すれば、両社とも適当といっていいのではと思います(汗)
次に中途採用についてです。
両社とも、新卒より多めに採用しています。
意外にも、医薬品業界は このパターンが多いです。
中途の採用比率については、あまり極端でなければ特段良い・悪いはないのですが、転職希望者にとっては嬉しいポイントかと思います。
なお、当相談所が今まで調べた企業では、中途の採用比率の平均は2%程度、新卒の採用平均が3%程度となり、新卒の約2/3程度を中途採用する会社が多かったです。
3 採用職種
次に、この2社の採用職種についてまとめます。
まずは、新卒(大卒)の採用職種からです。
1)アステラス製薬
・MR職
・製薬技術研究職
・臨床開発職
※4/24時点で全て募集終了
2)日本ケミファ
・総合職
技術職
営業職
事務職
新卒(大卒)の採用職種から見ていきます。
アステラス製薬は医薬品単一セグメント事業らしく、他業界ではないような職種が並びます。
なお、このブログを執筆している時点で、採用は終了しているそうです。
3月の就職解禁なんて待っていたら、このレベルの企業は入社試験すら受けれそうにありませんね(汗)
一方日本ケミファですが、医薬品事業以外も手掛けているためか、一般的な職種が並ぶといった、好対照な結果となっております。
もちろん、どちらも問題はありません。
次に中途採用の職種を見ていきます。
まず、dudaに掲載されている求人をピックアップしてみます。
・アステラス製薬 8件
品質保証、臨床開発、DSほか
・日本ケミファ 19件
総務、知財、広報、営業ほか
用職種については、新卒採用同様の傾向です。
4 給料
次に、この2社の給料についてまとめます。
1)アステラス製薬
・初任給(大卒) :287,500(円)
全額基本給
・平均年間給与 :10,644,277(円)
[‘21年度]
・30歳平均賃金 :324,000(円)
2)日本ケミファ
・初任給(大卒) :223,000(円)
基本給213,000(円)
・平均年間給与 :6,902,772(円)
[‘21年度]
・30歳平均賃金 :300,500(円)
まず、新卒初任給です。
当相談所では、初任給は安すぎても、高すぎても適当ではないと考えております。
car-emon.shop
そういった意味では、アステラス製薬は高すぎ、日本ケミファは適当と言えます。
ここ最近は初任給にかなり高額な金額設定をする企業が増えているのですが、少なくとも今のところはあまりお勧めしておりません。
理由は下記ブログをご参照下さい。
car-emon.shop
また、金額自体も要注目ですが、基本給率も重要な要素で、これが低い企業は色々問題のある企業が多い気がしております(汗)
アステラス製薬が基本給率100%、日本ケミファが96%ですから、この点は問題ないかと思います。
次に平均年間給与についてです。
アステラス製薬が驚愕の1,000万円オーバー、日本ケミファも約700万円と十分以上の金額設定で全く問題ないのですが、さすがに規模(≒従業員数)の違いは出たといった感じではあります。
なお、この年間平均給与も、ある一定水準以下の企業は色々と問題があることが多いので(涙)、要チェックな項目と考えています。
しかし、上場企業以外ですと、意外に公開されていないので困ってしまう項目でもあります(汗)
最後に30歳平均賃金です。
両社ともに30万円代前半となります。
今まで調べた平均年間給与1,000万円オーバーの企業がこんなものですので、アステラス製薬の金額設定には納得ですが、日本ケミファは平均年間給与と比べて少し高すぎって気がしないでもありません!?
5 勤務時間
次に、この2社の勤務時間についてまとめます。
1)アステラス製薬
・勤務時間:8:45~17:30
※事業所、職種によって異なる
・平均残業時間:8.4時間/ 月
2)日本ケミファ
・勤務時間: フレックスタイム制
・平均残業時間:1.9時間/ 月
まず、勤務時間についてです。
両社とも、基本的にはシフト制や変形時間労働制ではなさそうです。
ただ、職種(特に製造系)によってはシフト制も適用されている可能性もあるので、気になる方は確認が必要でしょう。
なお、当相談所としては「長く勤める」ことを考えた場合、固定時間勤務>>ローテーション勤務(変形労働時間制を含む)と考えております。
体への負担が全く異なりますので。
次に平均残業時間についてです。
両社とも、“残業多め業界”である製造業とは思えない少なさです。
他の医薬品業界企業も、こういった傾向が見受けられますので、「残業少なめな製造業に入社したい♪」といったニッチな志向の方には、もってこいかもしれません(笑)
6 年間休日数
次に、この2社の年間休日数についてまとめます。
1)アステラス製薬
・ 完全週休2日制[年間休日:-日]
(土日)
2)日本ケミファ
・ 完全週休2日制[年間休日:126日]
(土日)
両社とも完全週休2日制とのことです。
日本ケミファは120日オーバーと全く問題ありません。
一方、アステラス製薬は日数の記載はありませんでしたが、まあ問題ないと思います。
また、両社共に基本 土日休みとなります。
当相談所としては、可能であれば土日祝休みが望ましいとは思っているところではあります。
子育てや趣味(友人と時間が合わなくなる)が、より充実するかと思っておりますので。
まあ、気にしない方は気にしないので、そこまで細かく考える必要はないのかもしれませんが(汗)
7 平均有給取得日数
次に、この2社の有給取得についてまとめます。
1)アステラス製薬
・14.1日(付与日数19.3日
、取得率72.2%)[‘21年度]
2)日本ケミファ
・10.4日(付与日数17.8日
、取得率58.4%)[‘21年度]
アステラス製薬は15日に迫る14.1日、日本ケミファも10日オーバーと全く問題ありません。
ただ、最近の大企業は15日オーバーも珍しくなくなってきていますので、もう一息頑張って頂いてもいいかもしれません!?
なお、年間有給取得数ですが、下記を目途に求人票を見て頂ければと思っております。
・15日以上 素晴らしい!
・10日以上 全く問題なし
・ 5日以上 問題なし
・ 5日未満 多分、法令違反!?
8 離職情報等
次に、この2社の新卒3年離職率、離職率、および平均年齢・平均勤続年数についてまとめます。
1)アステラス製薬
・新卒3年離職率:15.9%
(’19年月採用126名中20名が離職)
※マイナビ2025に記載なし
・離職率 :20.3%
※うち早期離職16.5%
・平均勤続年数 :16.3(年)
[‘21年度]
・平均年齢: 42.0(歳)[‘21年度]
2)日本ケミファ
・新卒3年離職率:0.0%
(’19年月採用名5中0名が離職)
※リクナビ2025に記載あり
・離職率 :5.8%
・平均勤続年数 :13.9(年)
[‘21年度]
・平均年齢:42.1(歳)[‘21年度]
まず、新卒3年離職率です。
アステラス製薬は15.9%と問題ない数値ではありますが、大企業としては平均的な数値とも言えます。
ただ、他の医薬品超大手と比べた場合、高めではあります(涙)
一方、日本ケミファは0%と採用母数が小さい影響もあるかもですが、大変素晴らし数値です。
また、日本ケミファは、離職状況をリクナビ上で公開しており、この点も素晴らしいと思います♪
この新卒3年離職率は政府が求職者のために公開を進めているものですから、大学生等が直接目にするような媒体には、ぜひ記載して欲しいと思っているところです。
アステラス製薬がマイナビには掲載していないのが残念であります(涙)
次に、単年離職率(新卒以外も含む)についてです。
アステラス製薬が20.3%とかなり多め、日本ケミファは5.8%と大企業としては一般的な値となります。
なお、アステラス製薬は この年に早期離職を募ったそうで、それを除くと3.8%となりますので、問題のない値にはなります。
評価については、アステラス製薬の早期離職をどう考えるかで変わるところでありますが、そこを気にしなければ両社とも問題なしと言えます。
なお、厚労省調査の平均が12%程度、当ブログで扱った企業(≒大企業)の平均が5%程度となっております。
次に平均勤続年数です。
両社共に賃金構造基本調査による全職種平均である11~12年を上回っておりますので、問題なしといっていいかと思います♪
最後に平均年齢です。
両社共に約42歳と、ほぼ賃金構造基本調査による全職種平均値と一致しています。
ある意味理想的な値ではないでしょうか!?
もちろん、全く問題ありません♪
9 おまけ(不祥事等)
とにかく不祥事を起こす企業(個人もですが 涙)は、繰り返すことも多いですから、この辺りはしっかりみておいた方がいいと思います。
なお、Googleで軽くサーチしているだけなので、ここで引っかかってしまうのは色々問題があるかな、とは思っています(汗)
なお、不祥事は大きい会社ほど記事として残ってしまうので、その分 引っかかりやすい傾向はあります。
1)アステラス製薬
医薬品業界最大手の一角らしく、ここまでなかなかの高評価だったアステラス製薬ですが、残念ながら”過労自殺”といった当相談所的には最悪な不祥事があった模様です(涙)
しかも、原因はパワハラの可能性もあるっぽいので(しかも関係者の証言が得られないといった理由でパワハラ自体は認定されていない模様)、結構最悪の部類ではないでしょうか!?
・過労自殺(‘21年)
アステラス製薬社員の自殺 労基署が過労による労災と認定:朝日新聞デジタル
また、これはアステラス製薬が悪いのか、逮捕してしまった中国が悪いのかは分かりませんが、下記事件で世間を騒がせたのは記憶に新しところです。
・中国、社員を正式逮捕(‘23年)
中国、アステラス社員を正式逮捕 拘束が長期化、日中関係に影響も:朝日新聞デジタル
なお、休職者に関する記載はないようでした。
2)日本ケミファ
こちらも労働関係のトラブルがあり、当相談所的には大きく評価を下げざるえないところであります(涙)
・不当労働行為再審査事件(‘04年)
厚生労働省:日本ケミファ不当労働行為再審査事件
・ジェネリック薬で初のカルテル
ジェネリック薬で初のカルテル、「主犯」は誰か 課徴金137万円、小さな談合事件の大きな意味 | 医薬品・バイオ | 東洋経済オンライン
次に、休職者ですが下記のとおりしっかり公開されており、こちらは数字的にも全く問題ありません。
・休職者 1名(0.3%) [‘21年度]
まとめ(5段階評価付き)
いずれも、「長く勤めることが出来る就職先」をポリシーとする当相談所の評価となり、絶対的な評価ではありませんので、そこはご理解下さい。
それでは、まとめです。
・アステラス製薬 ☆☆☆(普通)
基本的には好待遇業界である医薬品業の最大手の一角ですから、待遇が悪い訳がありません!?
しかし、やはり過労死事件(しかも被害者側は原因としてパワハラを訴えている)については、当相談所のポリシー的に評価を大きく下げざる得ません(涙)
なお、こちらは評価を下げる程ではないのですが、好待遇の超大手としては離職率が高めなこと、30歳平均賃金と比べ初任給が高すぎるのも気にはなるところです。
好待遇企業であることは間違いないと思うのですが、同じ入社難易度が高いのであれば、中外製薬や第一三共を狙った方が良いのではと思ってしまったのが、「☆☆☆(普通)」と評価した理由となります。
・日本ケミファ ☆☆☆(普通)
こちらも、数字的には悪くありません。
アステラス製薬と比較しても平均年間給与以外は大きく見劣りするものはなく、従業員数の違いを感じない検討ぶりです♪
ただし、こちらも労働関係の不祥事があり、当相談所的に大きく評価を下げざる得ません。
更に、経常利益で赤字が度々発生しており(’21年度単発ではない)、この辺りも色々不安があります。
いい点・悪い点を相殺すると「☆☆☆(普通)」といった評価が妥当と結論づけております。
従業員数による待遇の違いについては、平均年間給与について大きく出ておりますが(あと有給取得数も若干の違いがありましたが)、当相談所的にはそこまで気にする程ではないかな!?、というのが正直な感想です。
まあ、これは日本ケミファが従業員数に対して好待遇なだから、このような結果になったとも言えますが(汗)
以上、アステラス製薬と日本ケミファの求人・勤務条件についてでした。
次回は、「卸売業界の新卒3年離職率、平均給与等を比較してみました」の予定です。
それでは(^^)
(追伸)
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