悲しいことに、過労死のニュースは定期的に発生しております。
先日、三菱ふそうトラック・バスの京都支店で2015年(もう7年も前です!)、勤務中に急性心不全で死亡した男性社員が労災認定されたといったニュースがなんと先日発表されました。
死亡した三菱ふそう社員、5年半前の決定覆し過労死認定…「月80時間」未満でも過酷な環境考慮 : 読売新聞オンライン
労災認定にこんなに時間がかかるのも正直驚きなのです
今回はこの事件をテーマに業種と過労死の関係、そして”三菱ふそう”という会社が、就職先としてはどうなのかをチェックしていきたいと思います。
本ブログを運営するネット・キャリア相談所と申します。
進学・就職・転職・採用等をテーマにブログを運営しております。
みなさんとって、当ブログが少しでも有益なものであれば幸いです。
【目次】
今回のターゲット
製造業で働く方・就職希望の方、そして過労死問題に興味がある方にぜひ読んで欲しい内容となります。
イントロダクション
さて、私は“日本は製造業の国”であると思ってます。
実際、この業種には結構優良な求人が多かったりしますし、私が某大学の就職課に勤務していた頃、同僚(求人開拓担当)が「自分の子供を就職させるなら、製造業しかない!」って断言していたこともありました。
基本、お勧めの業界ではあります。
一方、製造工場が24時間体制で稼働することが多いためか、ブルーワーカー層の離職率が高いといった話を良く聞きますし、定期的に過労死のニュースも入って来たりします(涙)
また、今回の主役である三菱ふそうですが、下記「1 企業概要」に示しました通り、三菱自動車のリコール隠し事件後、誕生した会社です。
その誕生の経緯から、そもそもブラック企業なのではと疑ってしまいたくはなります…
今回は、この三菱ふそうの過労死問題を通して「業種と製造業と過労死」及び「三菱ふそうは就職先として勧められるか」をテーマに話を進めていきます。
なお、過労死(厳格には脳、心臓疾患の労災の請求数です)の情報は厚労省、業種別従業員の情報は経産省のデータから、企業情報及び採用情報はリクナビ2023及びウィキペディアの情報を参照しております。
1 企業概要です
三菱グループに属する商用車製造メーカーです。
2000年に、あの有名な三菱自動車のリコール隠し事件が起こりましたが、その余波(?)でトラック・バス部門と産業用エンジン部門の一部が分社化、独立した企業となります。
なお、株式は非上場です。
・設立 :2003年
・資本金 :350億円
・従業員数:約10,000人
2 過労死と業種の関係
厚労省が公開している労災補償状況から分析していきます。
労災は、脳・心臓疾患(≒過労死)によるものと精神疾患(≒自殺)に分けて発表されています。
三菱ふそうのこの事件は過労による心臓疾患ということですから、今回は前者の分析を進めていきます。
まず、労災の訴えがあったベスト5を見ていきます。
圧倒的1位の道路貨物運送業は、やはりamazonをはじめとするネット通販の拡大が影響しているでしょう。
この業種の全てが危険と言いませんが、割合的に高いことは間違いありません。
この業種に就職する方・している方は十分注意した方がいいと思います。
次に2位の“その他の事業サービス業”ですが、何のことかよく分からないかと思いますので、補足しておきます。
・廃棄物処理業、自動車整備業、
機械等修理業、
職業紹介・労働者派遣業など
色々混じっていてよく分かりませんね…
取り合えず、次に話を進めます(汗)
3・4・5位は、件数的にはドングリの背比べとなりますが、福祉→建築→医療と続きます。
世間で“ブラック”といわれている重労働が噂されている業種ですから、まあ納得です!?
ただ、この3業種は“やりがい”の面から人気(!?)の業種でもあります。
これらの業種を目指す方は、必ず複数の同業他社を徹底比較することをお勧め致します。
また、こういった仕事が好きでも体が丈夫でない方は、避けておいた方が無難かもしれません!?
さて、今回の本題である三菱ふそうです。業種は“輸送用機械器具製造業”となりますので、この順位をチェックしてみます。
同率10位にランキングされていますが、労災請求件数トップの道路貨物運送業と比べると1/5以下ですから、決して多い件数とは言えないと思います(運送業が多すぎともいえますが …)。
また、適当なデータが探せなかったので目安でしかないのですが、“輸送用機械器具製造業”の従業員数が100万人程度、運送業界が200万人程度いるらしいので、これを考慮しても道路貨物運送業の2/5程度の発生率ですから、特段ブラックな業界とは言えないと考えます。
まあ、ランクインしている段階でブラックと言われればそれまでですが(汗)
結論として、当相談所としては、本過労死事件は業界的なものというよりは、企業的な問題だと推定します。
3 新卒求人チェック
ここらかは、新卒(大卒)求人情報を通して、三菱ふそうの企業チェックをしていきます。
なお、中途の求人情報もチェックしたかったのですが、見当たらなかったので今回はパスします(涙)
1)新卒採用規模
ここ3年で平均すると30人程度採用しているようです。
社員が1万人いるとのことですので、採用比率は0.3%と見たことのないような低比率です!
“かっぱ寿司”なんて採用比率20%でしたらから、その違いにビックリです(;゚Д゚)
この新卒採用比率ですが、当相談所では企業を知る上での重要な要素の一つと考えています。
多すぎても(離職率が高い!?)、少なすぎても(採用が失敗している or 人事が活性化していない!?)あまり良くないと考えており、業界・業種で大きく異なるものではありますが、2~10%程度が妥当では と考えております。
ですので、この点においては健全な企業とは言い難いと考えます。
2)採用職種(大卒新卒)
次の2職種を募集しているそうです。
・技術系職種
・事務系職種
シンプルで好感が持てますし、文系も理系も受験出来ます。
特段、問題はないかと思います。
3)給料(大卒初任給)
「月給:224,000円」とあります。
これはなかなか素晴らしい金額だと思います。
新卒の初任給は高すぎても、安すぎてもいいことがありませんが、この金額設定は適当かと考えます。
4)勤務時間
フレックスタイム制で標準労働時間(1日):8時間とあります。
基本、変形労働時間制はお勧めしていないのですが、自分で管理できるフレックスタイム制は問題はないかとは考えます。
また、平均残業時間は月1.2時間と短めです。
それなら、何故過労死事件が起こったの?って疑問に思う方がいるかもしれませんが、あくまで“平均”ですし、社員が1万人もいれば残業が平均より極めて多いことがあっても不思議ではありません。
ただ、この過労死をしてしまった方は月平均74時間の残業を続けていたらしいので、この会社の平均残業時間の74倍(!)もの時間を働き続けていたこととなります。
素朴な疑問ですが、何故他の人にこの方の仕事を割り振らなかったのでしょうか?
この結果を見る限り労働時間の管理がまともに出来ていたとは思えません。
これが、過去にリコール隠しをした企業の実態なのでしょうか!?
5)年間休日数
「完全週休2日制(土日)、地域販売部門の休日は週休2日正(原則土・日)、年間休日:122日」とあります。
当全く文句のつけようがありません。
6)有給取得日数
平均で「12.0(日/年)」とあります。
全く問題ないかと思います。
ただ、上記残業の記載(平均1時間だが、連続で70時間以上残業する人がいる)を考えれば、全く休めない人もいそうです。
逆に休みまくりの方もいるとは思いますが…
この辺り、悪い意味で公務員的な感じがします(汗)
なお、年間有給取得数ですが、下記を目途に求人票を見て頂ければと思っております。
・15日以上 素晴らしい!
・10日以上 全く問題なし
・ 5日以上 問題なし
・ 5日未満 多分、法令違反!?
7)新卒3年離職者
リクナビ上にしっかり掲載されています。
著名な企業でも離職率については掲載を控える傾向が多いのですが、これは立派だと思います。
ただし、率自体はあまりよろしくはありません…
採用数 離職数
2019年度 27人 6人(22.2%)
2018年度 18人 7人(38.9%)
2017年度 採用なし
入社2年目で離職率が30%を超えています(涙)
超大企業でもあり、給料・平均残業時間、有給取得率の優秀さを考えれば、異常な数字だと思います。
なお、平均勤続は13年と悪くはありませんので、新卒後数年を乗り越えれば定着はしているものと思われます。
まとめ(追記で5段階評価あり)
給料、平均残業時間や有給取得率等がとても良いのに新卒離職率が高いといった不思議な企業です。
ここからは、私の邪推です(汗)
恐らくこの企業、新人には居心地が悪い企業なんだと思います。
悪い意味で公務員的、建前重視で意見が通りにくかったり、年功序列がきつかったり、社内の人材が上手く循環していなかったり…。
そう考えれば、求人情報から感じる矛盾点がある程度納得できるからです。
そして、三菱ふそうを就職先として勧めるかといえば、もちろん勧めません。
確かに超大企業ではありますが、やはり色々懸念を感じてしまう点があるからです。
また、おそらくこの企業の採用試験を突破できる方なら、他の企業でも引く手あたまでしょう。
正直、自動車関係の求人は他にいくらでもありますから、同業他社をまず先に検討した方がいいと思います。
優良物件、いっぱいありますよ♪
因みに、先日のブログで同様にお勧めしないといった”かっぱ寿司”とどちらを勧めるかといえば、三菱ふそうを勧めます(汗)
同じく色々懸念を感じてしまう企業ではありますは、三菱ふそうの方が給料を始め諸条件が良いのは間違いからです。
同じく懸念がある企業同士なら、絶対給料が高い方がいいです(汗)
基本、低賃金の会社にいいことはありませんので…
まあ、入社難易度が全く違いそうですから、比較することはナンセンスかもしれませんが(汗)
以上、過労死と業種、三菱ふそうについてのお話でした♪
次回は、「早食いで採用活動!?、日本電産の求人をチェックしてみました♪」についての予定です。
それでは(^^)
※追記(2023.7) 5段階評価
☆☆(私なら敬遠します)
実は離職率の悪さ以外は、数値的に悪いところはありません。
ただ、いろいろ事件が起こしている企業であり、掲載されている数値を変も裏読みしたくなる企業でもあります…
また、不祥事を起こす企業は、原則繰り返すものだと考えています。
car-emon.shop
ですので、やはり全くお勧めはしません。
(追伸)
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